「ううん」


音ちゃんも、赤西さんの不登校の理由は知らない。


音ちゃんは、赤西さんの連絡先もわからないという。


だからこうして赤西さんの下駄箱を見て、靴がないか、学校に来てないか確認していたんだ。


音ちゃんだって、同じクラスだった子が学校に来なくなったら心配するよね。


赤西さんが不登校だということを、私は伊原くんから聞くまで知らなかった。


赤西さんがどうして不登校になってしまったのか、私も心配だった。


だけどやっぱり、誰も赤西さんの不登校の理由を知らない。


「風杏ちゃん、ごめん。もう部活行くね」


「あ、うん。部活がんばってね」


吹奏楽部に向かう音ちゃんのうしろ姿を見送ったあと、私も下駄箱をあとにした。