伊原くんが先に教室を出て帰ったあと、私も友達とおしゃべりをしながら教室を出て廊下を歩いていく。


階段を下りて下駄箱に行くと、同じクラスの音ちゃんがなぜか隣のクラス、3年2組の下駄箱の前に立っていた。


どうしたんだろう……?


一緒にいた友達が、音ちゃんを見て立ち止まっていた私に気づく。


「風杏? どうしたの?」


「あ、ごめん。先に帰ってて」


「わかった。ばいばーい」


友達に手を振って別れたあと、私は音ちゃんのところへ歩いていく。


音ちゃんがジッと見つめている先は、誰の下駄箱……?


「音ちゃん?」


私が声をかけると、音ちゃんは体をビクッとさせた。


「ふ、風杏ちゃん……」


「ごめん、驚かせるつもりはなかったんだけど……ここでなにしてるの?」