今日は月曜日。


学校もあるし、うちに帰らなきゃ。


冷静になって考えると、白石さんに申し訳ないことをしてしまった。


彼の手をにぎったこと。


彼の隣で眠ったこと。


朝まで、彼の部屋にふたりきりでいたこと……。


私は悪いことをしてしまったようで、心苦しかった。


でも、ほっとけなかった。


伊原くんのことが心配で帰れなかった。


布団から立ち上がった私は、部屋の隅に置いてあった自分のカバンを手に取る。


伊原くんを起こさないように、足音を立てないよう静かに帰ろう。


薄暗い部屋の中を、忍び足で歩く。


そのとき、床に置いてあった何かにつまずき、うつぶせに倒れこんだ。


――ドサッ。


「いったぁ……」


なにやってんだろう。


「汐野……?」


うしろから声が聞こえて、私はハッと振り返る。


「起こしちゃった? ごめんね。静かに帰ろうと思ったんだけど……」


どうやら、床に置いてあったパソコンにつまずいたみたい。