「あ、そうだ。」

思い出したように兄さんはキッチンから顔を出した。


「ねぇ、俺の紺色の下着知らない?」
「知らねー。何で俺が兄さんのパンツの在りか知ってんだよ。」
「そ、そっか。そうだよな、ごめんなー。」
「…………」


危ねー!履いてるのバレたかと思った…。
これは今夜のオカズ……絶対に死守せねばならない。


「今日寒いし風呂沸かそうかぁ。」
「お好きにどうぞ。」
「何なら久々に兄ちゃんと入る?なんちゃって」
「………馬鹿じゃねーの?何が悲しくて兄さんと風呂なんて入るんだよ。」
「もう冗談だってば。智は恥ずかしがり屋だなぁ。」


恥ずかしがり屋?いいや、違う。

理性が保てないだけ。

でも絶対いつか犯してやる。
一緒に風呂に入る?その台詞言ったこと絶対後悔させてやるからな。


「カレー、ちゃんと甘口にするからね。」
「……どーも。」
「あ、智がデレた。可愛いなぁ。」
「兄さんにそんなこと言われても嬉しくない。」


嘘。
本当は嬉しい。


「んー?いいんだよ。俺がそう思ってるってだけなんだから。」
「…………あ、そ。」
「そーそー。カレー煮込んでる間風呂掃除してくるね。鍋の様子見ておいて。」


軽やかな足どりで浴室へと消えていくエプロン姿の背中。

何であんなに似合うんだろうな、エプロン。

あそこまで着こなす男そうそう居ない。

「……可愛すぎんだろ、マジで。」

困りもんだ、本当に。