「おはよう。」
今日もやっぱり来てくれた。
「おはよう。」
いつもの何気ない会話。いつもと変わらない道。でも、今の私にとってはそれすらも特別だし、嬉しい。まるで、普通の女子高生になったような気分だ。でも、きょうのヨウは少し違った。
「……。」
「……。」
私から話しかけていいのだろうか。
「あのさ」
「あのね」
勇気を振り絞って話しかけた。ハモる2人の声。
「何?」
「ううん。ヨウからでいいよ。」
「あのね、オレ、その……。」
「何。隠し事はなしじゃないの?」
もう今は、ヨウとは普通に喋れるようになった。でも、表情は暗いままだ。
「あ、あのさ、オレが言いたいのは、オレがユイのことがす…。」
「もう何?さっさと言ってよ。」
「ああ、ごめん。ええと、つ、月が綺麗ですね。」
は、月?今、朝ですけど。月なんて、無いですけど?何?どういうこと?
「何が言いたいの?」
「その答えは、今日の国語の中にある。」
それだけ言われた。月が綺麗かあ。どっかで聞いたことあるような、ないような。
今日の国語の授業は四時間目だ。そんなこと考えながら登校した。
一時間目は体育だった。バスケだったけど、全然集中出来なかった。
二時間目は数学だった。一番苦手な科目だけど、全く頭に入らなかった。ヨウの説明すら、全くわからなかった。