勉強だって教えてくれた。頼んでもいないのに。ヨウはとても頭がよかった。
昼食も一緒に食べてくれた。
「それでさー、あの人は菊池 類だよ。それからあの人は…。」
私がクラスに馴染めるように、ヨウも努力してくれた。わたしはとってもうれしかった。ヨウのためならと思うと、なんでも出来そうだった。でも、それを表情にはだせず、暗い顔だった。それを見たヨウは、
「何かあったんでしょ。それで学校に来ない。オレ、そういうの気になるタイプだから、オレには隠し事しないで欲しい。」
「話せたらでいいから。ね。オレ、ユイのこと嫌いじゃないから、その…。」
「うん。分かった。あのね…。」
「……。私、友達が死んでから、人と関わるのが怖くて、傷付きたくなくて。自分だけ幸せになっていいのかなって思って。それでさ。」
「ほんとに?本当にそれだけ?」
「……え?」
ヨウは鋭い眼差しで私を見つめた。その眼差しは、まるで真実を知っているかのようだった。
「嘘はつかないで。バレバレだよ。また今度でいいから、話せたら、話して欲しい。」
「ご、ごめんなさい。」
「うん。じゃあ、午後の授業も頑張ろう!」
ヨウと過ごす時間は、あっという間だった。
「じゃあ、明日も迎えに来るから。」
「うん。待ってるね。」
そう言って、ヨウは帰って行った。その後ろ姿を見ると、胸がもやもやして、キューってなった。もしかして、この気持ちって…。