久しぶりに来てみると、昔と変わらない姿がそこにあった。

ただ、そこから見える景色は昔と違い、随分と栄えた街景色となっていた。

「この国も戦争に勝ってお金が潤ってから、随分と姿を変えてしまったね。」
慶次郎は少し寂しそうに笑った。

「栄えることはいいことでしょ?どうしてそんなに悲しそうなの。」

慶次郎は優しく微笑んでみせてシロツメクサを摘み始めた。

「確かに栄えることはいい事だよ。でもね、今のこの裕福な状況は誰かの犠牲の上に成り立っているんだ。戦争に勝った国はそんなことにも気づかずに、さらに貪欲になっていく。僕のおじい様はね、それが嫌で英国から日本へ来たんだ。」