「とにかく、中に入ったらまず、もし迷子になったらどこで待ち合わせるか決めるよ。ディズニーは迷子センターないからね?」



開園前にゲートに並び、周りはすでに何人か俺たちに気付いているようだったが、極力気にしないように、でも小声でそう伝える。



『大丈夫だよ~ユキ君は絶対に私とはぐれないよ。』



ルナの方は、周りなんか全く気にせず大声で話してるが。




「いや、だから万一だって…」


『じゃあ賭ける?!』


「ちょ、芸能人が大声で賭けるとか言うなよ…」



もうすっかりウキウキモードで、自分の世界に完全に入り込んでいるルナは、手慣れたように俺のポケットに30円入れた。



『今のところ、私の5連勝中だからね!』


「はいはいはい。」




こんな状態じゃあ、これ以上俺が何か言ったところで聞かないだろうと、素直に受け入れる。

あれ以来、何度か賭けを持ちかけられては、俺の全敗だ。


そしてなぜか、いつも賭け金は30円。


まあ、だからこそ手軽に楽しめるし、そうやってふざけ合う時間が特別な感じがして、良いんだけど。