「…そうっすか。」
これ以上問い詰めるのも無粋だろうと、そこでこの話は終わらせた。
『まあそんなことはどうでもよくてー。広いお家には余ってる部屋がある、というのは考えが甘い訳です。』
「ん?どういうこと?」
話の展開がよく見えない。
『んー?や、実はね。この家だいぶ改造しちゃってて。日常生活に使えるのは、このダイニングにリビングにキッチン、あとお風呂と、さっきまで寝てた和室だけなの。』
「おう。」
『だからね、ユキ君に一部屋あげる、みたいなことが出来ない訳でして。』
なるほど、そんなことを気にしてたわけか。
確かに、付き合っている訳でもない男女が一緒に暮らす上ではプライベートな部屋が欲しい気もする。…ていうか欲しい。
かといって俺の家に来られてもここよりだいぶ狭いんだし、だったらそんなのは仕方ないじゃないか。
「まあ、お互い忙しくてそんなに家にいる訳でもないだろうし。別にそんなの全然いいのに。」
