『ん?いや、そういう訳ではないよ。』
「えええ。」
『いやいや、金持ち?って言ったら金持ちだったかな?お父さん普通にサラリーマンだったけど、多分年収1000万は貰ってたし…』
それは十分金持ちだろう。
ああでも確かに、娘にこんな良い部屋を与えるほどではないな。
狭間の言わんとしていることは分かった。
「え、じゃあなんで…?」
こんなに広いとこで、1人で?
こんなに良いタワーマンションの最上階なんて、自分の年収じゃ到底届かない。
こいつだって、いくら売れてるスーパーモデルとはいえ、20でここに一人暮らしできるほどは稼いでないだろう。
いつも通り、満面の笑みで、狭間ルナはこう答える。
『んー……まあ、その辺はね。オトナの事情ってやつ?』
