「真白」

桐生くんが私の名前を呼ぶ。

「いまからデートしない?」

「……は?」

唐突すぎる、予想もしなかった言葉に、一瞬、思考が停止した。

「よし、そうと決まれば早く行こう」

「いや、なにも決まってないし……!」

私の話なんて全然聞かずに、ぐいぐい手を引っ張って歩いていく桐生くん。

私は抵抗する暇もなく、危うくつまづいて転びそうになりながら、その後をついて行った。