恋愛零度。


困りはてた私は、おそるおそるお姉ちゃんの部屋のドアをノックした。

「はい」

お姉ちゃんの短い返事を聞いて、ドアを開ける。

「どうかした?」

机に向かっているお姉ちゃんが振り向く。朝からすでに疲れた顔をしているお姉ちゃんに、こんなことを頼むのは申し訳ないと思うけれど。

「勉強中、ごめんね」

「いいけど、なに?」

「あのね、今日友達と出かけるんだけど……動きやすそうな服、持ってたら貸してくれないかな」

「ええ?ちょっと待って」

面倒くさそうに立ち上がるお姉ちゃんは、まさか私がデートに行く服を借りにきたなんて、思ってもみないだろう。

そう思うと、微妙に罪悪感を感じはするけれど。