あの日を境に、半同棲から同棲を始めた。両親からは、結婚の意思があるなら好きにしなさいと送り出されて私は、毎日彼の帰りをこの部屋で待つようになった。

だが、両親には、あの日の出来事は話せていない。

心配して、透さんと別れをすすめられそうだからだ。

全てが片付いたと、透さんは、また[lodge]のオーナーに戻るなり、開く日を待っていたお客さんで、毎日、てんやわんやと忙しくしている彼が、家に帰ってきた。

「ただいま」

「お帰りなさい」

少し、疲労気味らしく、弱音を吐く。

「疲れた」

「お疲れ様」

「愛梨、癒して」

そういうなり、顔を両手で固定され、チュッとキスされるが、それで終わらない。

唇を何度も食まれ、角度変えてキスが大胆になっていくのだ。

このままだと、また彼のペースで抱かれてしまう。

彼の胸を押して、キスを拒んだつもりだけど、キスしながら、彼は前に進んでくると、私は、後退するしかなくなる。

「ま…って」

チュッチュッと啄むキスに変わり、意地悪く笑っている彼を睨んで、彼の唇を塞いだ。

「なんだよ」

手の中でこもる声は、不満げだ。

「あのね、報告があるの」

「なに?」