ソファがら立ち上がり、私を抱きしめる彼の胸にすがった。

「最高の殺し文句だ。俺以外、もう触らせないから安心して抱かれろ。……すきだ」

キスする瞬間に、唇の上で囁くような声が聞こえ、目を見張る。

その後は、聞き返す暇もなく彼に乱されて、愛されていった。

ベットの中で、彼に腕枕をされながら、今までの経緯を聞かされた。

彼女が話していた通り、今年になって神崎家から上条の家に婚約の申し込みをしたらしい。だけど、それは透さんの知らなかったことで、勝手に進められていた。

本当に神崎家が婚約関係を結ぶ気があったかというとそうでもないらしく、ただ、仕事上の関係で、向こう側に油断と隙を作らせて、時間稼ぎをしたかったのではないかと言う話に、私のわからない世界のことで、詳しくは聞きかえさなかった。

ただ、その関係をいち早く清算したかった透さんは、会社に入り、情報収集をしていたと話してくれた。

それも、もう終わり、落ち着いたら、また、[lodge]のオーナーに戻るという。

「愛梨、何も持たない俺だけど…神崎 愛梨になるか?」

「もう一度、好きって言ってほしいな」

不器用な求愛には物足りなく、もう一度確かな言葉が欲しくてせがんだ。

「…好きだ」

告白しなれていない照れた口調に、頬が緩む。

「私も大好き」