「愛梨が無事でよかった」

「心配かけてごめんなさい」

「俺のせいで、お前を危ない目に合わせたんだ。謝るのは俺だ」

ごめんと、擦れる声が痛々しかった。

「透さんのせいじゃないよ」

「いや、俺のせいだ。あの女があそこまでおかしいと思っていなかった。油断していた」

「でも、助けてくれたよ。どうしてあの場所がわかったの?」

「料理教室の日は、真っ直ぐに家に帰るだろう。あの道は危ないから、奏多と陸に交代で見張らせていたんだ」

「そんな気配なんて気がつかなったよ」

「そこは、気がつかれたら困るからな。まさか、お前を拉致られるなんて思ってもいなかったから、見張らせていて正解だった。じゃないと、助けられなかった」

チュッチュッと、髪にキスをしてギュッと抱きしめ、私の無事を再確認する様子に、なんだかこそばゆくなる。

これって、愛されてるからなんだよね…

ニマニマとして、頬が緩んで止まらない。

「なに、笑ってるんだ」

「だって、嬉しいんだもん」

「なにが?」

「セフレなんか、また見つければいいのに、助けてくれたし、こうして無事だったって安心してくれてる。透さんを好きな私としたら、嬉しくて、浮かれちゃうよ」