「あーぁ、甘いんだ。俺なら、ボコボコにしてやるのに」
「透さんがそんなことしたら、愛梨ちゃんが脅えて透さんの側から逃げ出すよ」
「確かに、怒ると手をつけれないんだった。今じゃ、爽やかなオーナーで、昔の影もないから忘れてわ」
2人の話に、「余計なことを」と舌打ちする透さん。
「帰るぞ」
ヘイ、ヘイと2人は私の側まで来て微笑んだ。
そして、透さんとは別々の車で来ていたらしく、2人とはそこで別れて今に至るのだが、重苦しい空気に、奏多くんでも一緒に乗っていてくれたらと思わずにはいられなかった。
マンションに着くなり、彼の部屋まで腕を掴まれてついていく。
玄関に入るなり、ギュッと抱きしめられ唇が塞がれた。
いつものキスとは違い、不安を打ち消すような荒々しく呼吸をする暇も与えてくれない、そんなキスだった。
私も、彼の荒々しいキスに、数時間前の恐怖を打ち消したくて、彼の熱に夢中で応えている。
好き
大好き
透さん以外の人に抱かれてたかもという恐怖から、解放されて、彼の唇の熱と服の上からでもわかる熱に浮かされていく。
しばらく夢中になって、お互いの唇をむさぼり彼の腕に抱かれてソファに座った。



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