たった一回きりの関係だったのに…彼女が欲しくて欲しくて、気が狂いそうだった。

もう、触れてはいけない存在に、恋い焦がれたのだ。
そんな俺に、彼女自ら飛び込んできた。

嬉しいのに、俺の家庭環境が複雑だったせいで、何をしても続かない俺。

そんな俺が、彼女との普通の恋人同士のような関係を続けられるのか?…でも、手放せない。

そんな俺の弱さが、彼女を傷つけるとわかっていても、側に置きたくて、セフレという関係を結んだ。

会えば会うほど愛しさが増し、店を予約してデートになんかにも誘っている。

あり得ない…俺の行動を冷やかす慧親子。

それに煽られて、嫉妬して、物扱いをして彼女を抱いたのに、幸せそうな顔をする彼女。

彼女の気持ちには薄々気がついているが、ずっと愛せる自信のない俺といて、彼女は幸せになれるのだろうか?

悩んで、悩んで、やはり彼女には俺は相応しくないと結論し、わざと彼女が来る日に女を呼んだ。

呼んだくせに、キスしても、愛梨の顔が浮かんで結局、反応しなかった。

愛梨に見せつけて振られる予定が、他の男に抱きしめられている彼女の姿に、怒りに震える。

結局、俺は愛梨を傷つけてでも、手放せないと気がつかされるだけだった。