(ちなみにインフォメーションには、男性スタッフも裏方にいるので、時たま、2人でランチに出かけられる)

「このビル中の若い男、失恋決定か!」

ボソっと、呟く詩織さんに

「皆さん、詩織さん目当てですよ」

「そんなの当たり前よ。この美貌だし、高嶺の花って感じで演出してるからね。指を咥えて眺めるだけで、付き合いたいなんて思ってる奴いないわよ。例えいても、このビル内の男なんて眼中にないわ。ただ1人、あいつが振り向いてくれたらそれでいい」

それが誰かは、いまだに教えてもらってないけど…

「私よりもあんたよ。ロクでもない男にひっかかるでしょ!また、ろくでなしじゃないでしょうね?」

確かに…
私は、何人かいるセフレのうちの一人だから…
でも、詩織さんに言うとめちゃくちゃ怒るだろうから言わないでおく。

「多分、前の人より素敵な人です。(セフレ関係だけど)お店経営してるし、地面持ってるらしいし、優しいし、かっこいいし」

「はぁっ…浮かれて目がハートだわ。前のように、ならないように気をつけなさいよ」

詩織さんに忠告されて仕事に戻ると「井上さんにお客さんきたよ」と真っ先に名刺を渡された。

「お昼ありがとうございました」