温もりがじんわりと背を温めてくれる。しかし、片手で抱きよせて、頭一つ分背の高い彼が、真後ろでタバコを蒸している気配にドキドキさせられて、夜景どころではない。

なんだか愛されてる気分だ…

抱きよせるこの腕に抱きついていいだろうか?

ダメだろうな…セフレが恋人の真似事をしてどうする。

「ありがとうございます。おかげで寒くないです」

よしよしと頭を撫でる手。

咥えタバコ姿を見れないのが残念ですが、頭を撫でられて嬉しい。

さっきまで機嫌悪かったもんね…ちょっとは戻ったのかな⁈

「綺麗ですね」

「あぁ…」

まだ、不機嫌?

そのまま、しばらく夜景を見ているうちに、ちらほらいたカップルが寒さに耐えられなくて帰っていく。

私は、温めてもらってるけど、神崎さん寒いよね⁈

「神崎さん、寒くないですか?そろそろ戻りましょ」

すると、今度は両手で抱き込まれ、彼が肩にのしかかってきた。

うわっ…うわっ…何何?

顎を掴まれて、首が少し痛いくらい横向きに…斜めに唇が柔らかく触れていた。

冷たい唇が、じわっと熱を持つ。

こんな優しいキスは初めてだ。

目を閉じて、その熱を味わった。キスしたまま体が反転させられ彼の腕の中でキスが続いていく。