「映司さん、ありがとうございます。
でも、まさか、また例のあれですか…?」
映司は最高に素敵な笑みを浮かべている。
それも、毎度の事なのだけれども…
咲子は小さくため息をついて、その箱を開けてみる。
「咲子ちゃん、どう?
今回のネグリジェは本場のフランスから取り寄せたんだ。
もちろん、生地は極上のシルクだよ。
でも、夏仕様だからかなり薄めだけど。
その腰のあたりのレースのリボンが咲子ちゃんに絶対に似合うと思って」
咲子は映司が自分のネグリジェ姿が大好きなのは知っていた。
咲子の高価な着物姿より、お気に入りのワンピースを着た姿より、何より一番似合っているらしい。
それって、嬉しい事なのかもよく分からないけれど…
「映司さん、本当にありがとう…」
もう要りません…なんて、可愛そうで口が裂けても言えない。
映司さんの幸せそうな笑顔を曇らせたくないもの。
という事で、咲子のクローゼットには真新しいネグリジェが5着は掛かっている。
その中から映司さんがいつも選んでくれる。
それって、ちょっと危ない私達なのかもしれないけれど…



