映司のそういう思惑に、素直で純粋な咲子はちゃんとはまってくれている。
「堀江様、こんな素敵で素晴らしいお店、私、初めてです…」
咲子は席に着く事を忘れ、大きな窓から見える外の景色に釘付けになっていた。
映司はそれだけで心の底から嬉しかった。
咲子の笑顔をたくさん見たい。
そういう単純な思考が本当に心地いい。
「咲子ちゃん、とりあえず席につこうか?
食事をとった後に、ここのテラスを散歩しよう。
ビルの中にある小さなオアシスに、きっとビックリすると思うよ」
「はい…」
映司は今度は期待に赤く染まる咲子の頬をずっと見ていた。
「今日の洋服もすごく似合っているよ」
映司は、咲子に対して褒める事しか思いつかない。
褒めて褒めて褒めちぎりたい。
それで俺を好きになってくれるなら、そんなに嬉しい事はない。



