ソフィアの笑顔がますます怪しい。
映司はこのメッセージを閉じたくなった。

「映司、先に謝っておきます、ごめんなさいね。

今回の案件は、すごく個人的なものなの…
私が東大に在学中の時の同級生で、唯一、話の合う私の友達が彼女のお母さん。

彼女の名前を見て分かったと思うけれど、私の友達は旧皇族の名家に嫁いで、今回の案件はその娘さんのお仕事を映司に手伝ってほしいという事」


は? 何で俺??

パソコンの画面にそう呟いてみても、ソフィアに届くはずもない。
その画面の中のソフィアは、自分のペースで楽しそうに喋り出す。


「映司、データは見てるわよね?」


メッセージのはずなのに、ソフィアは映司の今の状況を分かっているかのように映司に話しかける。
映司は罰が悪そうに笑った。

「彼女の名前は七条咲子様。
彼女のおじい様は旧七条宮様で、元皇族の家系。

戦後に直系以外の皇族がどんどん離れた中、離脱後もしっかりと事業を成功させた唯一の有名な宮家よ。
皇室関係に疎い映司は、多分何も知らないと思うけど」