映司は何だか気分が悪かった。
こんな風に咲子の事を話題にしてほしくない。
特に謙人に関しては、謙人が絡めば女の人は腰を振って付いてくる。
ジャスに言わせれば、謙人という存在は女の人を引き寄せる媚薬のようなものだと言う。
どんな匂いを漂わせているのか知らないが、百発百中、女性は落ちる。


「明智君、これお願い。
それ食べたら、また出かけるから」


映司だってかなりのモテ男なのに、どういうわけか咲子に関しては誰にも近づいてほしくなかった。
特に謙人は…
そんな事を考えるだけで、謙人を殴りたくなる。
あ~、やっぱり俺はどうかしてしまったのかもしれない…


「あ、さっき、ソフィアから連絡がありました。
映司さんは大丈夫かな?って。
で、僕が、映司さんが気が進まないみたいでって話したら、その時は僕とチェンジしても構わないって言ってましたよ」


明智君は映司にお饅頭と淹れたてのコーヒーを渡した。


「え、何なの?
何か問題ありなの? そのお嬢様」