「まずはスポンサーを探しましょう。
この団体の事業実績はまだまだ改善の余地だらけだと思いますが、でも、こういう取り組みに理解を示してくれる企業はあると思います。

そして、僕からの提案を一つ。
今二つある団体を一つに絞ってください。
一つにすれば、資金面でも、活動内容も、充実したものにできると思うので。

厳しいようですが、今のままでは二つともダメになってしまう。
僕が帰った後に、他の皆さんとしっかり話し合って下さい」


「話し合って二つとも残したいってなったら、どうなるのでしょうか?」


映司は咲子の顔つきが変わったのを見逃さなかった。
ただの単なるお嬢様ではない。
この仕事に誇りと責任感を持っている強い女性の顔だ。


「それなら、もっと具体的な数字を出してほしい。
全ての活動内容に対してどれくらいのお金が必要かとか、その活動によって得られるものは何なのか。

それを見てから、また検討しましょう」


咲子は心臓が破裂しそうだった。
映司の様子が、今までの穏やかな雰囲気が、一瞬で仕事ができる大人の男性へと変わった。