「やっぱり、ここのくだりは省けば良かった…
ごめんなさい… 
心配をおかけしてしまって。

犬猫の殺処分の事を考えると、辛くて悲しくて涙が止まらないんです。
そういう犬猫を保護する活動に力を入れてはいるんですけれど、中々、上手くいかなくて…

自分の力のなさにも涙が出てきてしまうんです…
本当に、ごめんなさい」


映司は咲子の顔ばかり見て、ほとんどプレゼンの話は聞いてなかった。
でも、映司にとってはそんな事くらいで清らかな涙を流す咲子の方に興味津々だ。

映司は咲子にソファに座るように促した。
そして、咲子が手に持っている資料を受け取ると、それにさっと目を通す。


「まずは資金面ですね。
お金がないと、この団体は何もできない。
今の世の中、慈善活動にもお金がいる時代ですから」


咲子は反省しているみたいに、下を向いている。
自分の力の無さに悔いているみたいに。