でも、咲子は堂々としていた。
二つの団体を立ち上げた経緯や、その並々ならぬ決意や熱い情熱、そして今経営が窮地に立たされている現実を切々と語った。

映司はこの時に、咲子の品の良さを感じていた。

天然のおっちょこちょいに間違いはないが、でも、話す時の仕草は凛としていて、たまに浮かぶ笑みには優美さが漂っている。

本当にアンバランスだった。
何もかもがアンバランス過ぎて、そのギャップに映司はついていけない。
もっと気取ったお姫様だと思っていた。
そんな事を考えていると、また咲子は想定外の動きをし始める。

順調にプレゼンをしていたはずなのに、なぜかシクシク泣き出した。
映司は慌てて立ち上げると、咲子の顔を覗きこむ。


「大丈夫?」


映司はそう聞きながら咲子の肩に手をのせると、咲子は涙を浮かべたまま気まずそうに微笑んだ。