そして、咲子は玄関先に立つ恐ろしいほどの美男子に心を奪われ、ただでさえパニックなのに、更にこの上なくパニックになっていた。
だから、きっと、隠れて髪なんかをいじっているのだろう。
「あの、手伝いましょうか?」
そのお客様からの声に、咲子はもう終わったと思った。
そして、咲子は鏡を見るのは止めた。
もうこうなったら開き直るしかない。
私の見た目がどういう状況であれ、正々堂々とするしかない。
だって、今日の目的はこのEOCの方に立派なプレゼンをする事なのだから。
「あ、ごめんなさい…
大丈夫です… 本当にごめんなさい…
あ、そこへお座りください。
今、お茶を淹れてきますね…」
映司はそのついたてから顔を出した咲子様に驚いてしまった。
何に驚いたかは、よく分からない。
だって、驚くべき要素が満載だったから。



