神谷盛神社は、七条家の先祖が祭られている立派な神社だ。
七条家の人間はほぼ全員がそこで結婚式を執り行う。
でも、昔ながらの厳かな式になるため、最近の若者はどうしても違和感がつきまとってしまう。
「お父様は、何て?」
「宗一さんは無視していいそうだ。
それも俺的にはちょっと気が重いんだけど、孝一さんがどんどん話を進めていくしさ。
ねえ、咲子ちゃん、これって悪い冗談だよな?
孝一さんはそう言うけど、俺達のタイミングで結婚させてくれるよな?」
咲子は無言で立ち上がって、開け放していた扉を全部閉めた。
映司の顔色がよくなっているのを確認して、もう一度、映司の隣にそれも正座で座り直す。
「可哀そうな映司さん……」
咲子はそう言うと、映司の右手を取り咲子の胸元に手を当てた。
「でも、それは、おじい様の言う事に従うしかありません。
というか、その方が一番楽に結婚できる方法です。
祖父は私には甘いですが、頭の固さは父と似たようなものです。
祖父がそう言うのなら、残念ながら神谷盛神社で式を挙げるしかない…
でも、その日さえ乗り超えれば、私達は晴れて夫婦になれる。
自由になれるんです!」



