「咲子ちゃん、もうそろそろお開きにしない?」
咲子は映司の問いに残念そうに首を横に振った。
「まだ、予定の半分しか済んでません。
映司さんと明智さんは、この後、おじい様のもう一つの行きつけのお店に行く事になっています」
「え? 咲子ちゃんは?」
映司は、留守番を言いつけられた子供のように駄々をこねる。
「私と母は、一足先に帰らせてもらいます。
私は?って聞かれたら、寂しいですけど、一人でお風呂に入って楽しんでおきますね。
この間、デパートで買ったアロマのキャンドルをお風呂の中で試してみようと思って、もしよかったら、映司さんも後日一緒に楽しみましょう」
映司は天を仰いだ。
恋をすれば、こんなに他人が邪魔になるのだろうか。
二人きりの世界が永遠に続いてほしいのに。



