イケメンエリート、はじめての純愛⁇



前日の打ち合わせの最後に、映司は明智君にそう警告した。
明智君は映司のその言葉にケラケラと笑う。


「僕にそんな魅力なんてないですよ~」


明智君…
自覚がないのが一番怖いんだよ…

映司はそんな事を思いながら、明智君とハイタッチをした。


咲子は明智君の前で一生懸命以前のお礼を言っている。
そんな咲子に明智君も律義に頭を下げながら、でも、視線は映司の顔色を窺っていた。

映司は明智君にしか分からないジェスチャーで、いいよ、好きにしてと伝える。
有能な部下を信じないでどうする?
映司の理性が愚かな嫉妬心を叱りつけた。

それに、今日、映司には明智君を見張るなんてそんな余裕はない。


「明智君、今日はよろしくな」


咲子の前では大人の出来る上司を演じる映司を、明智君は優しい目で見つめている。
いや、いや、それは俺が向けるまなざしだろ?

でも、映司も明智君に微笑みかけた。
窮地に立たされた時に、一番力になるのも明智君だ。

そして、映司は咲子の肩を抱き寄せる。
君のターゲットは咲子じゃなくお母様だからなと、わざとらしく見せつけるように。