明智君は微笑んでいる。
まるで他人事を楽しんでいるみたいに。
「で、咲子ちゃんのお母さんはどうだった?」
映司は明智君のように他人事みたいに笑えない。
そう、だって、完璧に自分事だから。
「適当にあしらっておきました。
あ、あしらうって悪い意味じゃないですよ。
いい風に映司さんの事もアピールしておきましたし、咲子さんが幸せに向かっている事も僕なりに説明しておきました」
明智君、君は天使だよ…
何なら、宗一さんまで君が説得してくれないか…
「ありがとう、本当にありがとう」
映司はそう言うと、脱力感に切ないため息をこぼす。
「明智君、隕石くらい固い石頭を攻略する方法って、何かないかな」
EOCきっての頭脳の持ち主はどんなアドバイスをくれるのだろう。
「隕石とは、地球大気圏との摩擦で生じる高温にも溶けずに地球上に落下した強敵な石になります。
だから、この地球上にはその石に敵う物はない。
攻略するのなら、また宇宙に戻すしかないですね。
だから、それを人間に例えるなら、生まれた赤ちゃんの時に戻して教育し直すって事ですかね」
映司はもっと具体的な内容で、明智君に相談すればよかったと少し後悔した。
でも、明智君の頭脳は次の機会にとっておこう。
この先、宗一との対決は何度かありそうだから。



