映司がEOCへ戻ると、明智君がすぐに映司の元へ寄ってきた。
「映司さん、咲子さんのお母さんから電話がありました。
映司さんの携帯に電話をしたんですが、留守電になってたので」
映司はスマホの着信履歴を見て、大きくため息をつく。
「それで何て?」
すると、今度は明智君が天井を見上げて肩をすくめた。
「咲子さんのお母様と一時間は話しましたよ…
まずは映司さんとはどんな人か?から始まって、昨夜の映司さんの行動についてとか、咲子さんは今どこにいるのかとか…」
映司は明智君をサロンのソファに座らせた。
大きな窓から西日が差し込み、その温かさが幾分気持ちを落ち着けてくれる。
映司はコーヒーを二人分淹れた。
電話を受けた人間が明智君だったことを、神様に感謝しながら。
「明智君が聞いた通りだよ。
俺は、昨日、咲子ちゃんの家に結婚の申し込みに行った。
結果は言わなくても想像がつくだろ?
そのせいで、咲子ちゃんは家を没収された。
だから、今、このビルのホテルの3201号室にいる」



