「咲子はアバンクールヒルズTOKYOの3201号室に居るんだね?
いづれ、迎えに行く。
その間、あの子の恋愛ごっこにつきあってやってくれ」
映司は湧き上がる怒りをぐっと頭の隅に追いやった。
でも、何かしらこの石頭に打撃を与えて帰りたい。
「恋愛ごっこなんてしませんよ。
僕も咲子さんも真剣な付き合いをしています。
大人の恋愛の行きつく先は?
咲子さんはもう大人の女性です。
あなたの奴隷なんかじゃない…」
映司はそんな強烈な言葉を残して、宗一の部屋を後にした。
…まずい、まず過ぎる。
隕石並みに固い頭の持ち主に、油をかけて火を放ってきたようなものだ。
映司は咲子が絡めば理性が吹っ飛んでしまう。
恋をした人間が愚かになってしまう理由が分かった。
まさに、今の俺だ…



