映司はそれ以上何も言わなかった。
頭が切れる人間なら答えは簡単に見つけられるはずだから。
「君の思惑は分かったよ。
でも、それが咲子との結婚を認める理由にはならない。
君と咲子が結婚すると盛り上がっているとしても、私の中には君の存在はない。
悪いが、それ以前の話だ。
君は、私にとってはただのEOCの人間にしか過ぎない。
EOCは素晴らしい会社だ。
それは世界の評価を見ても明らかだ。
君がわが社のコンサルト業を引き受けてくれるのなら、仕事のパートナーとしてつき合う分には構わないがね」
映司はニコリともせずに小さくため息をついた。
「EOCは無駄な仕事はしません。
EOCの人間としてなら、この会社であれば相談を受ける前に切り落とします。
EOCは、どんなに窮地に追い込まれようと、将来性のある企業にしか手を貸しませんから。
それに、今のあなたの会社は、EOCにコンサルタントを頼むほど余裕がない。
一般の企業は、わが社のコンサルタント料は払えませんので」



