「咲子様のお人柄を分かってもらうためには、省いちゃダメですよ。
あのままでいいと思います」
咲子は大きく頷いた。
そして、机の引き出しからプレゼンテーション用の資料を取り出すと、また大きな声で練習し始めた。
「あ、それと、圭子さん。
そのEOCの方にお土産を渡したいから、銀座の杏兆にいってお饅頭を買ってきてくださる?」
圭子は笑顔で頷いた。
「咲子様、11時にこの事務所で待ち合わせをしています。
でも、私、その時間は子供の学校に用事があって行く事になってて、事務所に居れませんけど、大丈夫ですか?」
咲子は柔らかい笑みを浮かべて頷いた。
EOCの方がこの事務所に来てくれるというだけで嬉しかった。
まるで、救世主が訪れるくらいの大きな勘違いをしながら。



