イケメンエリート、はじめての純愛⁇



咲子は目を潤ませて、圭子の手を取った。


「ありがとう…
それで良かったです。

あ~、でも、嬉しい。
このお話が本物だったって事よね?
私、あまりにも連絡が来ないから、母に騙されてるのかもなんて思っていたの」


咲子は胸に手を当てて、涙をホロホロと流した。
このチャンスを逃したら、この団体はこのまま消えてなくなるだろう。
それくらい、お金に困っているから。

「咲子様、泣くのはまだ早いですよ。
だって、その男の人、何だか愛想がなくて、事務的に物を言う人でしたから。
本当に咲子様を助けてくれるのかしらって、疑いたくなるくらい」


咲子はまた圭子の手を握った。


「圭子さん、大丈夫よ。
今まで練習してきたプレゼンテーションをやっとお披露目する時がきたんだもの。
私の熱意をちゃんと分かってくれるはず…」


「咲子様が泣かずにちゃんと最後まで言えればですけど…
途中で必ず泣いちゃうんだもん」


咲子は肩をすくめて苦笑いをした。


「やっぱりあの捨て犬たちのくだりは省いた方がいいかしら?
あそこになったら、どうしても涙がこみ上げてくるのよね…」


圭子はクスッと笑った。
でも、そこが咲子様のいいところで愛される根幹だった。