咲子の好みにピッタリ合った。
ピッタリ過ぎてこの部屋から出たくない。
さっきまで贅沢だとかもったいないとかそんな事を考えていた自分はどこかへ消えた。
今は、早くこの部屋の住人になりたい。
この部屋にぴったりの生活がしたい。
咲子は自分がまだ着物を着ている事にうんざりして、急いでネグリジェに着替え出す。
あ、でも、その前にお風呂に入りたい…
咲子はバスルームに入ると、もうため息しかこぼれなかった。
そのバスルームはパリの宮殿を思わせるような豪華さで、十畳ほどの深紅の絨毯が敷かれた空間のど真ん中に真っ白な楕円形のバスタブが置いてある。
咲子はうっとりしながら、でも、隣にあるガラスの扉で仕切られたシャワールームを使った。
このバスタブはまたゆっくりと使えばいい、なんて思いながら。



