「咲子ちゃん、今日はもう帰ろう。
もし、明日、本当に家がなくなるのなら、その時は僕と一緒に対策を考えればいい」
映司は自分の身の上話とか、そんなものがばれたところで何も変わらないと思った。
映司がどんなに私生活も含めて立派な男だとしても、きっとこの家族には認めてもらえない。
駆け落ちか…?
それも面白いかもしれないな。
映司は子供の幸せを願う親の気持ちを見極めようと思った。
それ次第で、全てが変わる。
映司は咲子の手を取って、この家を後にした。
そして、こういう状況でも、大人の対応は忘れない。
映司は、咲子の家族に深々と頭を下げて丁寧に挨拶もした。
でも、だからといって、自分自身の価値を下げるつもりはない。
堀江映司は望むものは全て手に入れる。
少々、汚い手を使っても、未来が明るく幸せならそれでいい。



