ハグ…か?
映司は咲子に抱きしめられながら、そう呟いて笑った。
自分の愚かな過去を清算する事はできないけれど、これからの未来は咲子のために真面目に生きていく事はできる。
咲子が俺の話をただのハグだと思って理解したのなら、それはそれでそのままにしておこう。
とりあえず、ちゃんと告白した。
後で咎められる事があるのなら、それはその時に考えればいい。
セックスをハグと勘違いした咲子ちゃんのおっちょこちょいのせいにしよう。
そして、二人で大笑いして、俺の過去は水に流そう。
映司のポジティブ思考は、すぐに物事を解決に導く。
でも、咲子は騙せても、その家族はそうはいかない。
映司は咲子の首元に顔をうずめて、静かに目を閉じた。
何か対策を考えなければならない…
「映司さんのおかげで、私達の小さな団体も潰れずにしばらくは活動ができそうです。
スポンサー契約もスムーズに進みましたし、後の細かい手続きは事務の方が丁寧に進めています。
営利目的の団体ではないので存続が厳しいと言われてましたが、本当に映司さんのおかげです。
本当にありがとうございました」



