イケメンエリート、はじめての純愛⁇



「咲子さん、高市さんの会社の方から連絡はあった?」

咲子は毎日かかってくる母美都子の電話を切る度に、しばらく落ち込んだ。

母の旧友の高市様の会社に自分主催の団体のコンサルタントをお願いした。
咲子に甘い祖父の投資を元に大学時代の仲間と慈善事業団体を立ち上げたのは三年前で、三年が経った今、祖父から父へ家業の経営が引き継がれ、甘やかしだけの咲子の団体への投資は去年の12月で打ち切られた。

父の宗一は咲子の躾には特に厳しい。
幼少の時にどういうわけか咲子が皇太子様のお妃候補に選ばれて、その光栄な申し出に咲子の家族と親戚は泣いて喜んだ。

咲子にとっては迷惑な話だった。
自由恋愛の今の世の中、お妃候補とか時代錯誤過ぎる。
きっと、皇太子の智宮様だって、そう考えていらっしゃるに違いない…