絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~

きっと上杉さんが「結婚したい」と言おうものなら、たくさんの女性が「私、立候補します!」と手を挙げると思う。

だからこうして実際にお見合いの席にいても、頭の中はハテナマークでいっぱいなんだ。

引く手あまたなくせに、なぜお見合い? しかも私なんかと。

自分で言うと虚しくなるけど、社長令嬢だからといって、皆がみんな美人ばかりではない。

容姿は至って普通。……いや、実年齢より幼く見られがち。この前、コンビニでお酒を買おうとしたら、レジで止められて身分証明まで提示させられた。

失礼してしまう、私はもう二十五歳。立派な大人だというのに……。

それに特別な教養があるわけではないし、ずば抜けて自慢できるような取り柄があるわけでもない。

本当、どこにでもいるような人間だと思う。だから私は上杉さんを疑っている。

このお見合いには、なにか裏がある。もしかしたら上杉さんがなにかよからぬことをでも、考えているのかもしれないと。

黙々と食事を取りながら、チラッと目の前に座る彼を盗み見る。