絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~

「別に隠すことないじゃない。それにお似合いよ、ふたり。大喜びするんじゃない? 敏夫(としお)さん」

「――え?」

どうしてここで、敏夫さんの名前が出るの?

敏夫さん……鯉渕(こいぶち)敏夫さんはこの施設の入居者で、今年で七十五歳になる。

私が実習で訪れた際、担当させてもらった人でとても仲良くしてもらった。

六十歳の時に脳梗塞を患い、左半身にマヒが残った。だけど援助が多少必要なものの、ほぼ自立できている。

明るくて話し上手。腰も曲がっておらず、スラッとしていてカッコいい。施設内でアイドル的存在だ。

実習期間終了後も、私はボランティアとして訪れては敏夫さんと色々な話をしてきた。

私の相談に乗ってくれたり、敏夫さんのご家族の話を聞いたり。私にとってなんでも話せる家族のような存在だった。

つまり私に恋人という存在ができて、敏夫さんも喜ぶってこと? いや、それ以外の理由はないよね?

また混乱する頭。すると上杉さんはいつの間にか私の隣にきていて、肩に腕を回した。