「これでも俺、ひとり暮らしだぞ? 麻衣子ほどではないが、それなりに料理はできる。ほら、冷めないうちに食べて」

「あ、はい。いただきます」

促されるがままオムライスをスプーンで掬って食べると、やっぱり美味しかった。

「美味しい……」

思わず声を漏らすと、上杉さんは安心したように微笑んだ。

「よかった。……食べたら少し寝た方がいい。昨夜は疲れただろ?」

彼の表情から、私を気遣ってくれているのが伝わってくる。

さっきまでアレコレ勝手に妄想しては、てんやわんやになっていた自分が恥ずかしい。

「ありがとうございます」

至れり尽くせりで申し訳なくなる。

もぐもぐと美味しいオムライスを食べ進めていると、急に上杉さんの手が伸びてきた。

「麻衣子、ついてるよ」

私の口についていたご飯粒を親指で掬うと、彼はぺろりと食べた。

「う、上杉さん!?」

今、食べたよね!?

スプーンを口に加えたままジロリと彼を睨むと、上杉さんは得意気な顔を見せる。

「いいだろ? 俺達、両想いなんだから。……あ、もちろん寝る時は添い寝してやるからな」

「添い寝!?」

「あぁ。たくさんのおやすみのキスのオプション付き」

宣言通り彼はその日の夜、ベッドの中で数え切れないほどのキスをした。
何度も何度も、唇が腫れてしまうほど私が眠るまでずっと――。