「あ、でも上杉さんみたいに暴言は吐かないから安心してね」

彼から聞いた話と、見せてもらった写真を思い出すと笑ってしまった。

上杉さんにも、あんな時期があったなんて信じられないな。……でも正直、見せてもらった写真の上杉さんもカッコよかった。

そういう話もお母さんにしたいな。……聞いてくれるかな。

ベッドにうつ伏せになっていると、急激に眠気に襲われる。
室内には看護師さんが用意してくれた簡易ベッドがあるのに。

次第に瞼は下がり、ゆっくりと深い眠りへと落ちていった。

その日の夜、懐かしい夢を見た。幼い頃、お母さんのベッドで一緒に寝た日の夢を見た。

私が眠るまでずっと頭を撫でてくれて、それが心地よくて眠いのにもっと撫でてほしくて必死に我慢して起きていたんだ。

懐かしい夢に幸せな気持ちで満たされていった。


「……子。……麻衣子」

私を呼ぶ声が聞こえ、優しく身体を揺すられ眠りから覚める。

「んっ……」

重い瞼を開けると、はっきりと私を呼ぶ声が聞こえてきた。

「おはよう、麻衣子。身体痛くない?」

私を気遣うのはお母さんの声。

「お母さん!?」