自ら彼の胸に飛び込んだ私に、上杉さんは戸惑っている。トクン、トクンと心臓の音が速さを増しているのが伝わってくると、安心できて不安が消えていく。

「お母さんたちに話をする時、本当にそばにいてくれますか……?」

問うと、躊躇いがちに抱きしめられた。

「あぁ、そばにいる」

放たれた力強い声に幸せな気持ちでいっぱいになる。

背中を行き来する大きな手が温かくて、今の私ならどんなことにも立ち向かえるような気がしてくるよ。

彼のぬくもりに酔いしれていると、今度は上杉さんが私に聞いてきた。

「じゃあさ、俺が両親に独立をして会社を立ち上げたいって伝える時は、麻衣子が俺のそばにいてくれる?」

「えっ……?」

顔を上げて目が合った彼は、目を細めた。

「麻衣子がそばにいてくれたら心強から。……隣にいてくれたら、自分の気持ちを伝えられると思うんだ」

「上杉さん……」

嬉しくて顔がニヤけそうになり、彼の胸に再び顔を埋めた。

「……私でよければ」

そのままボソッと言うと、上杉さんはギューッと私を抱き寄せた。