どうしよう、どんな顔して帰ればいいんだろう。普通に入ってもいいのかな。

自分の家なのに、それさえもわからなくなる。
少しの間、不審者の如く家の周りをウロウロしていると、家の門扉が開く音がした。
出てきたのは家政婦の山田さんだった。

「山田さん……」

ポツリと彼女の名前を口にすると、山田さんは私を見て目を細めた。

「おかえりなさいませ。……奥様がずっと麻衣子さんの帰りを待ちわびておりましたよ。そしてとても心配されておりました」

お母さん……。

山田さんから話を聞き、胸が熱くなる。

「私は少々、買い物へ出掛けてまいります。旦那様は明後日まで出張でおられませんが、どうぞおふたりでごゆっくりお過ごしください」

「あ、ありがとうございます」

きっと山田さん、私が家の周りをウロウロしていたことに気づいたんだよね?