絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~

「麻衣子、これなんてどうかしら」

そして部屋に入るなり、アクセサリーやバッグを私にあてがう。

「お母さん、もうそろそろ時間になるし、なんでもいいよ」

時計を見ると、上杉さんが迎えに来ると言っていた十時十分前になろうとしていた。
私につられるように時計を見たお母さんも、慌て出す。

「あら本当! 急がないと」

お母さんに渡されたアクセサリーを身につけ、バッグを手に部屋を出て一階のリビングへ向かうと、そこにはすでに上杉さんの姿があった。

「麻衣子お嬢様、上杉様が先ほどいらっしゃいました」

「あ、すみません」

ちょうど着いたばかりのようで、長年勤めてくれている五十歳になる家政婦の山田さんが、彼に珈琲を用意しているところだった。

ソファに座っていた彼は私の声に気づき、ゆっくりと立ち上がった。

この前のスーツ姿から一転、今日はずいぶんとラフな服装。Tシャツにストライプ入りのジャケットを羽織り、黒のチノパンを履いている。

だけどそんなラフな服装でさえ、彼が着ているとオシャレに見えるから不思議だ。