「もちろん。好きな人がいたら、毎日些細なことで嫉妬するから」

そうなの? でも真理愛は好きな人に対してでしょ? 私の場合はどうなんだろう。

モヤモヤしたり、ムカムカするのは本当に真理愛の言う通り私が上杉さんのことを好きだから?

そこまで考えが行きつくと、今度は心がざわざわする。
落ち着きを失っていると、真理愛は肩を落とした。

「麻衣子は誰かを好きになることを、難しく考えすぎじゃないかな? もっと単純で簡単なものだよ? 好きになる瞬間って」

手にしていたフォークを置き、真理愛は少しだけ笑った。

「それと理想と現実は違うもの。こんな人、好きになるわけないって思っていても、好きになったりするんだよね。……私もそうだった」

「……真理愛も?」

聞くと彼女は頷いた。

「大嫌いな人だったのに、気づいたら好きになってた。恋愛ってそういうものだと思う。麻衣子にとって上杉部長は理想の結婚相手じゃないかもしれないけど、あまり意地を張っていると、気づいたら手遅れってこともあるんだからね? いつまでも上杉部長が麻衣子を想っているとは限らないでしょ?」

それは……真理愛の言う通りだと思う。