「……麻衣子ちゃん、大丈夫? 顔色悪いけど」

当然次の日は寝不足で最悪だった。目の下に隈ができていて、メイクでカバーしたつもりだったのに、カバーできていなかったようで、出勤するなり絵里さんに心配される始末。

「すみません、ただの寝不足なんです」

余計な心配をかけてしまい、申し訳ない。

「あ、麻衣子ちゃんちょっと待ってて」

なにか思い出したように言うと、絵里さんは急いで自分のデスクへ向かい、バッグの中からポーチを手に取り戻ってきた。

「いいものがあるの」

渡されたのは、コンシーラーだった。

「私もよく寝不足の時にこれのお世話になっているの。カバー力がすごくて、隈も目立たなくなるからつけておいで」

「すみません、ありがとうございます」

まだ始業までニ十分ある。急いで化粧室に駆け込み、誰もいない洗面台の前でさっそく絵里さんに借りたコンシーラーを試してみる。

「うわぁ、すごい」

絵里さんの言う通り、カバー力がすごい。メイクしても目立っていた隈がわからないくらい。
よかった、絵里さんにかしてもらって。