「俺はそんな征様が好きなので、これから先も征様について行きます。
 ま、尊様には、鈴様がついてるから大丈夫ですよね」
と数志は笑っていた。

 征が親族の席に下がり、式が始まる。

「汝《なんじ》、病めるときも健やかなるときも、喜びのときも、これを愛し、敬い、助け合い、共に慈しみ合うことを誓いますか?」

「誓います」

 尊が答え、鈴が答える。

 尊が鈴のベールをめくった。

 視界の端に、征が父が母が、数志が、窪田が、朋花たちが、そして、ぽすが入った。

 扉もないこの式場の入り口を見て、鈴は笑う。

「なんだ?」
と尊が訊いてきた。

「……なんでもないです」
と鈴は言う。

 あの日、式場に飛び込んできた尊の姿を思い出していたのだ。